ああ、頭がよくなりたい…
それは誰しもが一度は思うことだと思います。
最近は思考ブームもあり、論理的思考、水平思考、右脳思考、デザイン思考、さまざまな思考ワードが飛び交っています。
僕もかつては流行りに流されるままに、論理的思考術の本を馬鹿みたいに読み漁ったことがありますが、特に効果を感じられず……笑
それから時を経て、思考力を鍛えるためのとてもいい本と出会いました。
それが『20歳の自分に受けさせたい文章講義』(著:古賀史健)です。
この本、文章術の本と謳いながら、実はとてつもなく思考力を高めるための本質をついた内容なのです。
「文章がうまくなりたい」「人の心を打つ文章が書けるようになりたい」そんな悩みを持つ方はもちろんですが、
「思考力をマッチョ化させて、さまざまな課題解決ができるようになりたい!」
そんな悩みを持つ方に非常におすすめの一冊。
今回はこの『20歳の自分に受けさせたい文章講義』(著:古賀史健)の魅力を分かりやすくお伝えしていきます。
思考とは、言語化する力
浅い言葉は思考の浅さ
例えば、こんな経験はないでしょうか。
友人「なんか、最近、映画にはまってて、おすすめの映画って何かない?」
あなた「ああ、あれ、それなら、◯×△が、めちゃくちゃ面白かったよ!」
友人「へえ、そうなんだ、どんなところが面白かったの!」
あなた「いや〜、とにかく泣けるんだよ、見てみてよ」
これは一見ごく普通の会話だと思うのですが、どこか違和感を感じないでしょうか。
「とにかく泣ける」という感想が浅すぎるのです。
これだけの情報で、あなたは週末の大切な時間にこの映画を見たいと思うでしょうか?
僕だったら、たぶん見ません。
でも、実際にこういう受け答えをしているときって、けっこうありませんか?
映画の例に漏れることなく、仕事でも、勉強でも、スポーツでも、同じような現象がいたるところで起きています。
思考していないと情報は通りすぎる
映画を見て感動さえしたのに言葉が出てこない理由は、「言語化できない情報」が削ぎ落とされて、「感情」だけが残っているからです。
これは別に悪いことではありません。
しかし、あなたが誰かに何かを伝えたいときには大問題です。
なぜなら、あなたは「感情」しか伝えられるものを持っていないからです。
『20歳の自分に受けさせたい文章講義』の著者・古賀史健さんはこう言っています。
われわれは”感情”を伝えたいからこそ、論理を使うのだ
つまり想いや自分の意見を伝えるためには、論理的思考が必要なのです。
書くことで思考力が高まる
ここで思考する第一歩が、言語化することです。
そして言語化する訓練をするためにもっとも有効なのが、書くことです。
でも、もしかしたら、あなたはこう思ったかもしれません。
要は、文章を書かなくても、言語化できればいいってことでしょう?
その意見はおそらく正しい。
でも、それはもともと思考ができている人の発想です。
もしまだ思考力が自分には足りていないという実感があるならば、スタート地点を変える必要があります。
書く→思考→言語化→伝える
つまり、スタート地点は「書く」から始めるべきなのです。
まず書くことから始める。それこそが思考力アップの鍵です。
書くことで思考力が高まる3つの理由
ここからは、『20歳の自分に受けさせたい文章講義』の内容をもとに、
文章を書くことで思考力が高まる3つ理由をお伝えしていきます
- 「なんとなく」にメスを入れる
- 3つの”再”により情報を引き止める
- 自分の頭で深く理解できる
では、みていきましょう。
その1:「なんとなく」にメスを入れる
書くことで得られるもっとも分かりやすく大きな報酬は、「なんかよくわかんない」部分に、言葉を与えられることです。
映画の例で言えば、「なんかよく分からないけど面白かった」の「面白かった理由」を明確にできるということです。
いやいや、よく分からないのに文章にできないでしょ…
もしも、そう思ったら順序が逆です。書くから言葉にできるのです。
ただ、なんとなく、わかった気になっている。
そこのなんとなくにメスを入れてくれるのが文章を書くことです。
ま言語化するきっかけを与えてくれるものが「書く」という行為です。
その2:3つの”再”により情報を引き止める
文章を書くことで、3つの”再”の過程を通過するのだと、著書の古賀さんは書いています。
その3つの”再”とは以下です。
- 再構築:言葉にするプロセスで話の内容を再構築する
- 再発見:語り手の真意を「こういうことだったのか!」と再発見する
- 再認識:自分がどこに反応し、なにを面白いと思ったのかを再認識する
誰かに『自分の言葉で』話すことによって、バラバラに散らばった内容を再構築し、理解を深めていくのである。
これはスポーツに例えると分かりやすいと思います。
例えば、野球を上達するために、プロが話す上達法を参考にした場合はこんな感じで、3つの再が使えます。
- 再構築 → 上達法を自分のプレーに落とし込んで取捨選択する
- 再発見 → 上達法の真意を理解した上で、試してみる
- 再認識 → 自分の足りないこと、上達すべきことが理解できる
まずは情報を3つの再によって自分の血肉にしないといけません。
そのための有効な手段が、「書く」という作業です。
その3:自分の頭で深く理解できる
人は多くのことをなんとなくで捉えています。
では、なんとなくの理解と、深い理解(=自分の頭で理解している状態)の違いはなんでしょうか。
その違いの一つは、「言語化できる量」です。
例えば、外車が大好きな人は、ファラーリやポルシェ、マセラッティの魅力について、3時間でも足りないくらい語れると思います。
『20歳の自分に受けさせたい文章講義』の著書・古賀さんは、こう言っています。
理解できないことを文章にすると、とんでもなく分かりにくい文章になる、そして、文章に「小さいウソ」がたくさんでてくる
わかっていないのに、ウソに頼って書かれた文章なので、分かりにくいのは当然です。
言語化できるとういことは、説明できるということです。
これは映画の例でも同じではないでしょうか。
「面白い」「泣ける」、本来はその理由を言語化して教えてもらいたいのです。
『20歳の自分に受けさせたい文章講義』 著:古賀史健
『20歳の自分に受けさせたい文章講義』の著書・古賀史健さんの代表作には、共著の『嫌われる勇気』があります。
これは大ヒットしたので、読んだことがある方も多いかもしれません。
そんなベストセラー作家の書くことのエッセンスが詰めこまれたのが本書です。
『20歳の自分に受けさせたい文章講義』は、文章の書き方について書かれた本ですが、思考力を高める方法としても面白いので、興味がある方はぜひ読んでみてください。